令和4年度診療報酬改定 クリニックのためのポイント解説

 

 令和4年度診療報酬改定については、2月9日に中医協から「答申書」が出され、具体的な点数が盛り込まれた改定案が提示されました。今後は3月初旬の「告示」をもって、改定内容は確定することになります。答申書の中から、今回は主にクリニックに影響する内容絞って解説します。

診療所の感染防止対策を評価

「感染防止対策」について、診療所の感染防止対策に係る体制の評価として、初診料・再診料等に「外来感染対策向上加算(6点、月1回)」が新設されます。
 施設基準としては、①専任の院内感染管理者の配置②地域医療機関・医師会等との連携③業務内容及びマニュアルの整備④職員研修(年2回)⑤地域のカンファレンスの参加(年2回)⑥院内巡回(週1回)⑦発熱外来の体制・ホームページ掲示、などが挙げられています。
 長引くコロナ禍の中、政府は継続した感染対策を求めています。予約システムなどを活用して、密の回避、待ち時間削減を行う必要があるのではないでしょうか。

外来の機能分化と地域連携

紹介状なしの受診患者から定額負担を徴収する病院の範囲が見直されることとなります。対象病院は現行の特定機能病院及び一般病床 200床以上の地域医療支援病院から、「紹介受診重点医療機関」のうち一般病床200床以上の病院となり、その範囲は倍増されることとなります。この他にも医療機関同士の連携を評価する項目が多く見られます。今後クリニックは、紹介状等の書類の増加が見込まれることから、書類作成体制の強化としてタスクシフティングなどを実施し、医師の業務負担の軽減に努めてはいかがでしょうか。

リフィル処方箋の開始

今回、「リフィル処方箋」という新しい仕組みが始まります。症状が安定していると認めた患者に対して、薬剤師との連携のもと、処方箋を「最大3回」まで反復利用できる仕組みです。コロナ禍においては、患者の要望から、病状の安定している患者に対しては、2カ月、3カ月といった長期処方が行われてきましたが、リフィル処方箋の影響で、長期処方は厳しく査定されることが予想されます。また、毎月の症状確認を薬局に委ねることになることから、医療機関と薬局の密な情報連携が求められています。診療所は薬局との協力関係を今一度見直す必要があるのではないでしょうか。

オンライン診療の規制緩和

2020年4月以来、オンライン診療はコロナ禍の特例措置として、初診からの実施など、大幅に規制が緩和された状態で運用がされています。今回の改定では、オンライン診療の規制緩和を大幅に進めることとなりました。
 オンラインでの初診については、「初診料(情報通信機器を用いた場合)251点」となり、現在の電話等初診(214点)より大幅に引き上げています。オンラインでの再診についても「再診料(情報通信機器を用いた場合)73点」とし、オンライン診療料という項目自体を廃止しました。また、薬局が算定する「オンライン服薬指導」についても、本来オンライン診療の後でなければ行えなかったものを、外来の後でも行えるように緩和しています。その他、医学管理料の算定も条件付きで拡大しています。
 コロナ禍でニーズが高まった「オンライン診療」を恒常化するために、初再診料の一部として再評価し、これまでの規制を大幅に緩和したことで、オンライン診療の普及を進めようとしています。

オンライン資格確認の評価新設

2021年10月より本格稼働した「オンライン資格確認」ですが、普及が予定よりも遅れていることを問題視した政府は、オンライン資格確認の点数が新設することになりました。オンライン資格確認はわが国の情報基盤であり、今夏に予定される「電子処方箋の開始」に向けても普及が急務と考えられており、政府肝煎の評価となります。
「算定要件」としては、施設基準(オンライン請求/オンライン資格確認/院内掲示)を満たす病院・クリニックを受診した患者に対し、オンライン資格確認により、患者に係る診療情報等を取得した上で診療を行った場合に、「電子的保健医療情報活用加算」として、月1回に限り初診料に「7点」、再診料に「4点」が加算されることとなります。
 また、初診料限定となりますが、オンライン資格確認の導入が難しい場合などは、令和6年3月31日までの間に限り「3点」を加算するとしています。現時点で、普及がそれほど進んでいない状況を考えて、一部、救済措置が用意されています。

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