ロイヤルカスタマーを育てるLINEの活用方法とは①

はじめに

長引くコロナ禍で、患者の増減が新型コロナの感染状況に影響され、クリニック経営はますます難しくなってきています。そのような状況の中で、どうやって安定的に患者の診察を行っていくかを真剣に考える時期となっています。そこで、今回は患者のリピートをどう生み出すか、ロイヤルカスターを育てるために、LINEをいかに活用するかについて考えていきたいと思います。

開業は山あり谷あり

2001年の開業から今年で20年目を迎えるスマイル眼科クリニック(横浜市青葉区)の状況から患者動向を見ていくことにしましょう。1日の平均患者数は、開業から5年間は右肩上がりで増加しました。その後、6年目から減少に転じ、10年目ごろ最大の谷を迎えます。
そこから試行錯誤を行うことで、再び上昇基調となりました。また、2020年には新型コロナの影響で、前年から10%ほど減少しました。2020年4月~6月の最悪の時期には約40%減となりました。10年目の谷からどのように回復したか、2020年のコロナ禍の落ち込みからどのように回復したかを話していきたいと思います。ちなみに、2021年は7月時点では、2019年と同水準に戻ってきています。このまま行けば過去最高を更新することは間違いないでしょう。

谷から回復する鍵は「リピート率の向上」にあり

谷から回復した鍵は「患者の囲い込み」「リピート率をどう上げていくか」にあると思われます。患者数の経過グラフを見ると、回復した原因が再来患者の増加にあることは明らかです。
患者が循環する仕組みは水のタンクのようにイメージすることができます。毎月、新規の患者と再来患者が来院し、月間2000~3000名の患者となり、その患者がタンクに戻って蓄積され、タンクには推定2万人ほどの患者が溜まっていることになります。登録患者数が10万人に対して、アクティブな患者数は2万人弱くらいになります。この患者をどう大事に循環させていくか。目減りしていかないようにするか。再来の患者数をどう維持向上していくかがクリニック経営において重要になります。新規の患者数を増やすことばかりに注目するのではなく、今回のようなコロナ禍においては、再来患者数をどう増やしていくかが大切になるのです。

再来患者数を増やすには

再来患者数を増やすためには、過去の経験から以下のようにまとめられます。
① 次回の再受診の必要性と目安を明確に伝える
② 次回の予約を入れる
③ 不満を減らす、不安を減らす(コロナ禍では特に)
④ 利便性を増やす(診療時間、曜日、予約制)
⑤ 継続受診する慢性疾患を重視
⑥ 顧客開発、市場開拓(潜在需要を見出す)
⑦ 関係性作り(通知ができるように、特に双方向)
クリニック経営において、このタンクの考え方はとても重要で、一般企業であれば、CRMという考え方になります。

患者減少の原因

当時を振り返ると、患者数が5年目を境に減っていった原因は、5年目に患者数がピークに達し、待ち時間が相当伸びてしまったことにあります。そのため、患者の不満が増幅し、そして職員も疲弊して辞めていく。それ以外に経営者としての疲れもあったのだと思います。このことは多くのクリニックが経験することではないかと思います。
この5年目の壁を超えるためには、これまで通りのやり方では難しく、患者の待ち時間の問題、スタッフや経営者のモチベーションの問題などに対する手当てが必要となるのです。それらの原因の根本は、「待ち時間」にあり、予約システムなどを活用した対策を試みるようになるのです。
そこで、混んでいる曜日・時間帯と空いている曜日・時間帯というアップダウンを何とか平準化して行けないかと考えたわけです。他業種などの事例を参考に、順番管理システムや時間予約システムの導入に取り組みました。コロナ禍では、予約システムの導入が急速に増えています。その背景には、ワクチン接種、密を避けたいという現在の課題があったのです。

タンクを還流させるためのLINEの活用

一方、再来患者の蛇口をどう開けていくかも重要な問題です。最近は、LINEなどSNSの活用が増えてきているように感じます。重要なのは患者のタンクをイメージして、タンクから漏れ出さないようにするということです。また、タンクをちゃんと還流できるようにするために、アクティブな流れのあるタンクにしておくことが大切で、現時点では、LINEが一つの手法として利用できるのだと思います。
先に挙げた「関係性作り」とは、顧客のデータベースを作り、必要な時に顧客に連絡できる体制を構築することだと考えます。この2つの機能を兼ね備えているのが現時点ではLINEなのかなと思います。
LINEに取り組み始めたのが2018年のことです。2019年から登録者数のカウントを始めたのですが、毎月30人~40人の増加にとどまり、普通にやっていては多くても毎月100人程度しか増えませんでした。
転機は2020年の4月ごろ。当時は、新型コロナの陽性者が急激に増えて、緊急事態制限が発令されたころ、スマイル眼科は完全予約制に移行する決断をしました。準備をはじめながら、並行して新型コロナに関連する情報をクリニックから発信するために、意識的に積極的にLINEの登録数を増やす働きかけを行いました。LINEを登録することのメリットを訴え続けることで、多いときで月間600名~700名の登録ができたのです。いまでも平均して月間300名の登録となっています。

登録者数を増やし、そのDBを活用する

2021年7月末時点でLINEの登録者数は7000名を超えました。その結果、2万人のタンクの患者数の約4割がいつでもクリニックから積極的に連絡がとれる体制ができたのです。
例えば、LINEに新型コロナのワクチン接種の空き情報を流すと、即座に埋まるという状況が出てきています。もし、これを別の方法でやろうとすれば、電話やFAX、メールなどで行うとなると大変な手間がかかることになるでしょう。LINEの手軽さと双方向でのやり取りが大きなメリットなのです。
LINEの活用には2つのステップがあり、1つ目は「いかに登録者数を増やすか」2つ目は、「いかにそのデータベースを活用するか」が重要なポイントです。活用の効果が実感できるのは登録者数が、1000名~2000名くらいになったころで、クリニックからの情報発信に対して、予約が入ったり来院数が増えたりと、目に見えて反応が実感できるようになりました。

(次回に続く)

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